手紙で認知されていた友達との思い出話

推しに手紙書きたい欲が湧いてくる、そんな初夏ですね(強引な挨拶)

手紙は昔から書くのも貰うのも好きで、文通が流行っていた時代も色んなご縁で知り合った人達に手紙を送っていた。なので推しのファンになってから初めて筆を執るまでそう時間は掛からなかった。

しかし、お芝居を観た感想を綴るというのはどうも難しい。推しを褒め称えたい気持ちが空回りして語彙力が地獄のバーゲンセールになり兼ねない。いやなってる。気の知れた文通相手に近状をつらつらと書くような手紙とはワケが違う。そういや読書感想文とかそういうの全然得意じゃなかったな自分。精進しよ自分。

 

そんな具合にまた手紙を書く生活になってから、ふと思い出した過去があった。とあるV系バンドのボーカルを追っかけていた学生時代の友達との思い出。

彼女は真面目で成績のいい子だった。けれど教育的な家で育ってきた故か、度重なるストレスで見る見るうちにインディーズで活動していたボーカルに傾倒していった。問題児で性格も正反対だった私と何故か気が合い、放課後はお互い好きな音楽ジャンルについてよくお喋りしていた記憶がある。

 

そのボーカルについても彼女はよく話してくれた。親の目を掻い潜って観に行ったライブ、貰って狂喜したファンサ、ファンクラブ経由で贈られた直筆メッセージ入りのバースデーカードの事などをそれはもう楽しそうに。

ただ、その頃の私は〝芸能人に夢中になるファン〟の心理というのを全くと言っていいほど理解していなくて、クラスの女子達からカッコイイんだよ~!とイケメンパラダイスな特集雑誌を見せて貰っても薄い反応しか出来なかった。マジかよお前それでも子宮付いてんのかよ…な顔をされた事もしばしば。

でも決して邪険にしていた訳ではなく、彼女が話してくれた内容も、凄いな~そういう世界もあるんだな~と別次元の面白い冒険譚のような感じで聞いていた。

 

ある時「ボーカルにはほぼ毎日ファンレターを書いて送ってる」と彼女は語り、前述の通りファン心理を知らない当時の私は驚愕。

学校、部活、家での勉強、宿題、そして習い事も手伝いも全部こなしつつ毎日、最低でも毎週一通は必ず手紙を送るって一体どんなバイタリティなの?文通相手じゃないどころか憧れの雲の上の人に対してそんなに書けるネタがあるの??今日のおかずはコロッケでしたノーキャベツでしたとかそういった日常を報告するの???と様々な疑問を投げ掛けたけど彼女はあっけらかんと「それくらい普通だよー」と答え、事務所の宛て先すら暗記していて何も見ずに書けるようになっていた。

 

思い返せばTwitterInstagramも無かった時代、厳しい家庭でファン活動を著しく制限されて生きていた中、ボーカルと彼女自身の繋がりを感じ取れる方法が手紙だけしか無かったんだと今では分かる。読んでくれているかどうかなんて知る由も無く、そもそも本人に届いていない事だって有り得るのに、それでもただひたすら手紙を書くことだけが唯一心の支えだったのだと。限られたお小遣いから捻出するレターセット代や切手代もきっと馬鹿にならなかったに違いない。

 

進学で別々の学校に通うようになってからも彼女との交流は続き、 久しく会えて一緒に遊んでいた時に突然「今度お泊りバスツアーに行って来る!」と報告してきた。

家族旅行にでも行くのかと訊ねたら、違うよファンクラブが開催するやつだよバンドメンバーが現地でお迎えしてくれるんだよ一緒の温泉宿に泊まるんだよと懇々と説明し始める彼女。そういうのもあるのかと再び未知の世界に吃驚する私。

お泊りなんてよく親が許したねと言うと、最近とうとう長年溜め込んだ感情が爆発して親と大喧嘩した末に今までで一番親と向き合って話し合うことが出来たのだと。それを切っ掛けに実は母親も若い頃はアイドルの追っかけをしていた事が判明し、自分の追っかけ活動もその為のバイトも常識の範囲内でという条件付で許容してくれたと。血は争えないという言葉の意味を思い知った。

 

それから幾分か経ったある日の晩、家の玄関のチャイムがえらい勢いで鳴り響いた。

こんな時間に誰だ…と訝しげに出て見ると旅行用の荷物を抱えたこれまたどえらいゴスパン女子がぽつんと立っている。彼女だった。

どうやら件のバスツアーから帰って来て間もなかったようで、彼女は私の姿を見るなりブワッと泣き出した。えっ一体どうした何事だと狼狽していたら「私のこと知ってた…!ボーカルが私のこと覚えてくれてた!!」と涙ぼろぼろ。一旦落ち着かせてから事の経緯を語って貰った。

彼女が参加したバスツアーではバンドメンバーが部屋を訪問しに来た際に目の前で宛名入りサインを書いてくれる企画があったと。自分の番が回って来た彼女は当然、本命のボーカルに自分の名前を告げる。するとボーカルは驚いた様子で

『あー!○○(地名)の!!』

と彼女の住んでいた場所を言い当てた。何で分かるんですかと愕然とする彼女に

『そりゃーいつもすっごく手紙送ってくれてるもん』

と微笑んでサインを書いてくれたのだと。

 

泣き止まない彼女をどう扱っていいものか困惑しつつ、たくさん書いた手紙ちゃんと読んで貰えてたんだね、本当に良かったね、と言葉をかけて祝福した。初めて面と向かって会うことが叶った憧れの人が既に自分の名前を覚えていてくれて、そのまま顔も覚えてくれて、その一部始終を見ていた同担の人達までおめでとうと祝ってくれてた様で。当時の彼女の心境は嬉しいとかの一言で済むものじゃなかったと思う。

その後ボーカルのバンドはメジャーデビューを果たし、それに伴うように彼女は更なるバンギャへと変貌を遂げた。けれど新しく付き合いだした同担との行動が目に余るようにもなってしまい、正直こんな彼女とは関わりたくないという気持ちが勝り暫く距離を置くようになった。

 

いくつか月日が流れて、彼女からボーカルに失望したのでファンを辞めるという内容の手紙が届いた。その理由にはバンドマンあるあるで想像に難くない事の顛末が書かれていた。早い話がクズバレである。

彼女本来の真面目な性格を考えるとこれまでの想いを打ち砕くには充分過ぎたんだろうなと察して、話聞くから久し振りに会おうかと返事した。

 

久し振りに会った彼女は笑顔を見せたものの疲れた顔をしていて、最近は同担からその程度でファンを辞めるのかと責められた、最終的には考え直せと言わんばかりにボーカルの携帯番号が書かれたメモを押し付けられた、と成り行きをぽつぽつ語った。

そのメモ結局どうしたの、と聞くと「破って捨てた。そいつらとも縁を切った」と答えた。私はそれで良かったんじゃない?よくやったよ、と返事を返してたと思う。

話の流れで「見納めでライブ観に行こうかな。一緒に行かない?」と誘われた。けど全く気が乗らなかったので断ったら「だよねぇ」と二人で苦笑い。結局彼女が最後にライブを観に行ったのかどうかは知らない。

 

でも落ち着いた頃に彼女はまた別のバンドを応援するようになっていて、以前みたいに派手に追いかける事もなく程よい感じでファン活動を楽しんでいる様子だった。

そうして過ごしていた内に遠く離れた場所で彼氏が出来て、将来その人と暮らせるように付いて行くつもりだと彼女は告げた。そっか、またこっちに帰って来たら遊ぼうと私は言った。彼女とはそれっきりになった。

 

 

 

私の推しはしっかりと手紙を読む人だ。いつもありがとうの言葉を時折ファンに向けて伝えてくれて、私信はそこはかとなく行動で示す人。私は推しに認知されていないけど、書いた手紙を読んで貰えたと確信した出来事がいくつも有った。

もしかしたら私の名前は薄っすら覚えてくれているのかも知れない。彼女に比べたら私の書いてきた手紙の量なんて本当に微々たるものだけど。でも認知されたい?と問われたら答えはノーであって。

ただ、手紙に書いている私の名前に関しては〝あ、よく見る名前だ〟って感じで、推しにとって害は無い奴認定の合格者として記憶して貰えてたらいいなとは思う。おこがましい望みだとは重々承知の上で、推しの顔に泥を塗らないファンでありたい所存。

 

このご時勢に私は推しのTwitter等にリプを送った事が一度もない。ふぁぼとRT宣伝は出来る限りしているのだけど、リプに関してはこれから送る事も多分、ない。推し個人に向けて書いた言葉が不特定多数の人の目に触れるのが苦手なんだと思う。

だから敢えて手紙で、これからも伝えたい気持ちを書いていこうと決めている。勿論手紙だって推しの関係者が目を通している可能性がある。でもそれは推しが安全に仕事をしていく為にも必要な事だと納得している。推しには何も心配することなく手紙を受け取って貰いたいし、私の手紙の内容で推しだけでなく推しの大切な人達の活力にもなれたとしたらこんなに嬉しい事はない。*1

 

だから彼女がひたすら手紙を書き綴っていた時の気持ちが、今は分かる。少しだけ。

 

 

 

 

 

*1:実際、推しと共演していた俳優さんから御礼の私信を頂けた事が有った。舞台の成功を祈ってのささやかな差し入れに反応して貰えたのだけど、推しは推しで私が恋を自覚する羽目になった反応をしてくれたので色んな意味で泣いた。

お題「あなたの推しはどこから?私は○○から」

最初の記事を自分で読み返してみれば内容うっすいわ謎改行で公開してたわで徹夜テンションの勢いで書くもんじゃあないなとぼくはおもいました。

onigiriumee.hateblo.jp

このような初心者丸出しブログを読んでくださったり、スターを付けてくださったり読者登録してくださった方、どうもありがとうございます。言うなれば初めてバナナを手にした仔ゴリラの檻のようなものなので生暖かく見守っていただければ幸いです。

 

 

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お題「あなたの推しはどこから?私は○○から」

今の自分に丁度良きお題をお借りして推しのことを出来る範囲で語ってみる。

仔ゴリラは進化を目指す。

 

俳優さんの名前は?

秘密です。しょっぱなからごめんなさい。


その俳優さんを好きになってどのぐらい経った?

片手で数え足りる程度の未熟な年数…なんだけど、好きになってからこれだけ経ったんだな~と自分ではしみじみ思う。

 
どういったきっかけで好きになった?初めて知ったのは?

私にとって思い入れが深い原作の最愛キャラを推しが演じることになり、サイトに載っていたキャスト情報で初めて推しの事を知った。その舞台が本当に素晴らしかったのも合わさって観劇当日は推しの演技に大号泣。からの客降り時の手厚いファンサで落ちた。ブラジルまで落ちた。

恋という意味で好きになったと気付いたのはプレゼントを気に入って貰えた様子で身に着けてくれた事がきっかけ。


好きな作品とオススメの作品を教えて!

めちゃくちゃ語りたいけど推しが誰なのかが明確になりそうなので黙秘。


どんなところが好きなの?

自身の役を沢山悩みながら勉強して一生懸命に表現している姿。プロの俳優として当然のことなんだろうけど、舞台の世界に疎かった頃の私はそんな推しの姿に強く惹かれた(自分の最愛キャラをそんな風に演じてくれたらそりゃ惚れる)

応援していく内に、自分自身に厳しいけど人には優しくて他の俳優さん達からも「本当にいい奴」と語られる人柄だと知って益々好きになっていった。

 
★応援してて良かったって思う時はある?

推しを見習って自分磨きを真面目に考えるようになり、成果を得ていると実感した時かな…普段の生活とか仕事のことだけでなく肌や髪の調子も以前より良くなってる。

化粧やおしゃれも必要最低限でやり過ごす事が多かったけど、今では自分に合うものを研究するのも楽しくなった。おそるべき推し事セラピー効果。


★好きな俳優さんにどんな役をやってもらいたい?

推しの筋肉が映えるような渋い役だと嬉しいけれど、チャレンジ精神旺盛な人なのでやれる役はジャンル問わずで何だってやって欲しい。

キスシーンやベッドシーンを演じた事があった時の推しも見惚れるほど綺麗だったのでそういったものでも構わない。色んな役を演じる推しを末永く見届けたい。


★推し以外に好きな俳優(純粋に気になる、気が向いたら追ってる程度でOK)はいる?

仲良しな俳優さん達のツイとかインスタ等はたまに拝見してる程度です。推しのアカウントの方では見かけてない写真とか動画が稀に上げられてたりするので、心の中で跪き俳優さん達と地球に感謝の祈りを捧げている。


★あなたにとっての推しとは

私の知らなかった世界をたくさん見せてくれて、飽きのこない人生にさせてくれた人。そして自分が本当にやりたい事を諦めなくていいと身をもって教えてくれた人。

私より年下だけど尊敬しています。ただただ感謝しかない。


★最後にその俳優さんのことを軽くプレゼン

綺麗で可愛いくて格好良くて大人の魅力も増量中なプロ意識の化身の推しはいかがですか!!そこのあなたいかがですか!!!!(しかし名前は公表せず)(屑)

 

 

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推しへの気持ちを俯瞰的に見れるのっていい機会だなぁ。そのうち応援スタンスについても書いてみたい。

 

 

 

 

ガチ恋を自覚したと同時に失恋した

私は既婚者。

そして推しも既婚者。明言されていないけど、多分そう。

 

とある日の舞台を境に「あ、これ恋だ」と思い知らされて「でも駄目じゃん」って我に返って、気持ちの落としどころを探りながら今を生きてる。

 

落としどころを見つけたくて、でも人には相談し辛くて、それなら一人こうやって心のままに書き連ねて吐き出していればいつかは「この時の自分ホント馬鹿過ぎうける」って笑える日が来るかもだ。

 

そんな単純思考でこのブログはじめました(冷やし中華並感)